水没マーチ

二次も三次も大好きなブログ
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救済の交錯(うみねこ/理御+戦人)

「もう、いいんですよ」

抱きしめられた腕にぎゅう、と力がこもるのを感じた。それが、あの日消えた“彼女”に抱かれた腕を彷彿とさせて、嗚呼確かに彼女は“彼女”なのだななどとぼんやりした思考が頭を掠めた。
どうしたことか、目頭が熱くて、胸が詰まる。

なんだ、泣いているのか、自分は。


「もう苦しまなくていいんです。“私”だって、それを望んでいる筈がない。だから、私が赦しますから、あなたはもう救われてもいいんですよ」


零れ落ちた涙は止まることを知らない。やがて彼女の服と自分のマントにじんわり染み込んでいく。情けないことに、漏れる嗚咽を飲み込むことさえできない。

ごめん、と。
声にならない声で呟いた。彼女に謝ったところでどうしようもないけれど。それでも謝罪をせずにはいられなかった。いつだって自分は誰かを苦しめてばかりで、本当に、情けない。
赦すと彼女は言った。彼女は“彼女”ではないけれど、もう苦しまなくていいと。もう、悲しまなくていいと。確かに、赦されたかった。ずっと傷付けて、それでも尚待ち続けてくれて、けれどそれにすら気付けずに。
自分の犯した罪は大きい。この罪がすべての始まりで、原因。だから“彼女”を甦らせて償おうとした。(それは結局自己満足の無駄な行為だったけれど!)

彼女が俺の頭をそっと撫でる。
それは幼子を宥めるような、すべてを包むような優しい手つきで。
余計に、分からなくなった。

本当に自分は赦されていいのだろうか?
この苦しみこそが贖罪ではないのか?
いいやそれこそただの自己満足ではないか?

出口の見えない思考の迷路。まるであの最低の魔女たちに閉じ込められた時のように、それは藻掻いても暗闇しかない牢獄とよく似ている。そこに差し込む光のように、彼女の腕はひたすらに、体を包み込んだ。その温もりが心地よく、ゆっくりと眠気が近づいてくる。

「おやすみなさい」

(記憶の彼方、母の温もりを思い出しながらひと時の救いを得ることをどうか、ゆるして)
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